26人が犠牲になった大阪・北新地のクリニック放火殺人事件から、17日で1年となる。火を付けたとされる男は事件後に死亡し、本人からは真相が語られることのないまま、捜査は終結した。
事件では大阪市北区の8階建ての雑居ビル4階のクリニックで2021年12月17日午前、男がガソリンをまいて火をつけ、西沢弘太郎院長(当時49)や患者ら26人が一酸化炭素中毒で死亡した。男は事件で意識不明となり、事情聴取されないまま同年12月30日に死亡した。
大阪府警は今年3月、通院していた谷本盛雄容疑者(当時61)を殺人や現住建造物等放火などの疑いで書類送検し、大阪地検は同月、容疑者死亡で不起訴処分とした。府警は動機を、出所後に再就職できず困窮し、職場復帰を目指す他の通院者に劣等感やねたみを抱いて大量殺人を狙ったと推定した。
オフィスや飲食店が集まる街で、多くの人の心の支えとなっていたクリニック。16年から通う大阪市の男性(31)は「僕にとっての駆け込み寺のような存在だった」と振り返る。事件当日に受診予定だった女性(58)は「生かされた自分には、やらなければいけないことがあるはずだ」と思うようになったという。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル